C2Hとは

わたしたちは、医薬品や医療機器などの「費用対効果」を検討する国立研究所の一機関です。
高齢化などにより公的医療費が増加している日本において、医薬品や医療機器などの費用と効果のバランス(=費用対効果)について評価を行っています。エビデンスに基づく医療政策(Evidence-Based Health Policy: EBHP)を実現するためのデータを作成し、公的な医療保険制度の持続可能性を高めていくことを目指します。

医薬品や医療機器の「費用対効果」を、考えるために

あなたが病院で保険証を提示したとき、治療にかかる医療費の一部(多くの人は3割)を負担することになっています。では、残りの7割は、誰が負担しているのでしょうか?答えは、わたしたちが納める「保険料」と「税金」です。つまり、一人ひとりは費用の一部だけしか支払っておらず、残りはみんなで負担した「公的なお金」から支払っています。

日本の医療費は年間約42兆円(平成28年度 国民医療費の概況)で、この額は毎年増えています。その背景には、国民の高齢化が進むほか、新しい医薬品や医療機器が増えることも関係しています。たとえば、ある疾患に効く高額な薬が発売され、年間の医療費に何百万円、何千万円もかかるとします。それを多くの人が同じように使い、そしてその費用が「保険料」と「税金」で支払われていれば、日本の公的な医療費に与える影響も無視できません。

ここで大切な観点は、単純に医療費に影響を与えることを問題にするのではなく、医薬品や医療機器などについて、「費用と効果のバランスが良い医療=費用対効果の良い医療」について検討し、そのあり方をみんなで議論することです。私たちはそのような「効率性」について検討することが、現在の公的医療の「持続可能性」を高めることになるのではないか、と考えるからです。

費用対効果の評価方法は、専門的でよく分からないと感じることも多いのではないでしょうか。このC2Hのウェブサイトでは、それらを知るための情報を提供していきます。医療は多くの人々にとって欠かせないものです。その費用対効果について私たちと一緒に考えていただければと思います。


なぜ、C2Hが費用対効果を評価するのか

わたしたち「保健医療経済評価研究センター」は、2018年4月に設置されました。「国立保健医療科学院」の一機関であり、その名の通り、国立研究所に所属しています。「費用対効果評価」をもとに医薬品や医療機器の評価を行っていく方針は、2015年6月に閣議決定され、2016年度の診療報酬改定において試行的に導入され、2019年度から制度化されています。

医薬品や医療機器には、それを開発した企業や、使用する医療者や患者さん、費用を支払う保険者や一般の人々などいろいろな関係者がいます。それゆえに「費用対効果評価」を行う際にも、特定の企業や団体などとは独立した公的な立場からの検証が必要です。国立研究所であるC2Hだからこそ、公正な分析が可能になる、と私たちは考えています。


C2Hが、あなたに提供するもの

国内外の「費用対効果評価」専門家のみなさまへ

C2Hは、専門家であるみなさんが、研究を含め費用対効果評価を実施する際に有用であろう様々な情報を提供します。例えば、中央社会保険医療協議会(中医協)のプロセスで用いている標準的な評価方法(分析ガイドライン)やその評価結果、あるいはC2Hで開発した評価に使用できるツールなどです。

医薬品・医療機器企業のみなさまへ

C2Hは、費用対効果評価の対象となった品目を有する企業、あるいは今後対象となりうる品目を有する企業のみなさんが適切な分析を実施できるように費用対効果評価のプロセスや分析手法を明確に提供できることを目指します。また、対象となった品目を有する企業のみなさんとは、分析に関する様々なコミュニケーションをとりながら、より科学的で適切な分析を実施するお手伝いをします。

一般の方や医療関係者のみなさまへ

C2Hは、厚生労働省で費用対効果評価の対象として指定された医薬品や医療機器などに関して、費用対効果を評価した結果を提供します。また、その評価方法についてもわかりやすく解説することを目指します。C2Hは厚生労働省の実施する費用対効果のプロセスにおいて、科学的な評価をとりまとめている公的な機関であり、費用対効果評価に関する一次情報を提供しています。


組織名称とロゴマーク

ロゴマーク

組織名称

「C2H」は“CORE 2 Health”の略称であり、その正式名は「保健医療経済評価研究センター」の英語名称である“Center for Outcomes Research and Economic Evaluation for Health”です。C2Hの「2」は、“Economic Evaluation”と頭文字の「E」が2回続くことに由来しています。厚生労働省(中医協)のプロセスにおいては、医薬品や医療機器などの費用対効果評価(=医療経済評価)を行いますが、研究や研修などでは予防医学やその他の様々な技術についても評価対象とすることなどから「医療」とあわせて「保健」を含めた名称となっています。

ロゴマーク

C2Hの文字を線でつないだロゴマークは、医薬品から連想される化学式のような雰囲気を持たせています。シンプルな「線」による意匠は、様々なステークホルダーとの「つながり」を意識しています。また、費用対効果評価を行う、国立研究機関であることから、「フラットな関係性」や「信頼感」を表現するために、ブラックとホワイトを基調としたカラーリングを採用しました。