費用対効果評価におけるC2Hの役割

保健医療経済評価研究センター(C2H)は、費用対効果の分析をとりまとめる公的な組織として設置されました。その設置の経緯と、果たす役割についてご案内いたします。

1. 費用対効果評価のプロセス

費用対効果評価のプロセスでは、まず、医薬品や医療機器は中医協で保険償還の検討を行い、認められれば公的医療保険で使えるようになります。その後、それらが費用対効果を評価される対象として指定されます(「対象品目」と呼びます)

対象品目を販売している企業は、費用対効果の分析を実施し、結果を公的機関へ提出します。ただし、企業により提出された分析結果が、そのまま使用されるわけではありません。ここで「費用対効果の専門家」が提出された分析を精査し、必要があれば増分費用効果比(ICER)などの再計算を実施します(再分析)。このプロセスは「公的分析」と呼ばれており、より科学的に妥当な分析結果をつくるためには不可欠なものです。

企業の分析結果と公的分析は、中医協にある「費用対効果評価専門組織」に提出され、議論が行われます。この組織には費用対効果や臨床の専門家などが集まっています。分析結果の見解に相違がある場合は、分析の妥当性などを検討します。

議論の結果は、上部組織である中医協に報告され、そこで最終的な意思決定がなされます。その結果、価格調整などの方針が定められていきます。ここまでで、およそ1518ヶ月程度のプロセスになります。

2. プロセスにおけるC2Hの役割

上記のプロセスにおいて、C2Hは「公的分析」のとりまとめを実施します。つまり、企業が提出した分析のレビューや再分析を、科学的観点からより適切なものとする役割を担っています。大学など研究機関に所属する医療経済学や臨床の専門家と協力しながら、科学的に質の高い分析となるよう努めています。

また、レビューや再分析だけではなく、分析を開始する前(「分析前協議」)、あるいは分析途中における企業との相談も実施しています。実際に分析が提出されてから議論するのではなく、分析開始前から企業と見解をすりあわせながら進める方が効率的だからです。例えば、せっかく調査をしてデータを集めても、それについて見解が一致せずに使えなくなってしまうのでは、その労力が無駄になってしまいます。

一方で、C2Hのメンバーは分析結果について検討を行う「費用対効果評価専門組織」などにも参加して、公的分析に関する説明をしたり、分析に関する質問や疑問に答えたりしています。その点では、C2Hは企業と専門組織を橋渡しするような役割も持っているのです。

3. なぜ、C2Hで実施する必要があるのか

C2Hは「国立保健医療科学院」という国立研究所の一機関です。諸外国でも費用対効果における公的分析に相当するものは、国立機関で行われていることが多いようです。

その理由は、公的分析の公平性や信頼性を確保するためです。例えば、企業から研究のために費用を受け取っている研究者が、企業が提出した分析のとりまとめなどを実施するのは必ずしも適切ではないと考えられます。利害関係や人間関係が評価に影響するかもしれない上に、外部から見たときにあらぬ誤解を受けることにもなりかねません。このような利益相反の観点から、公的分析は民間企業との関係性のない国立の研究所が実施することが適切なのではないか、と考えられています。